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科学の本の紹介『過去と未来とわたしたち』(「たくさんのふしぎ」2023年4月号)

  • 執筆者の写真: H K
    H K
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

あなたが過去と未来につながっているという科学の絵本です。どんなふうに

つながっているのか、さぁ、ページをめくってみましょう。

■『過去と未来とわたしたち』(「たくさんのふしぎ」2023年4月号)■

 藤沢健太 著・佐々木マキ 絵/福音館書店/2023年4月/770円+税


私事ですが、子どものころ「自分が死んだらどうなるのだろう」と考えたことがあります。この本は、その問いに1つの答えを示してくれるように思います。内容は2つのお話からなりますが、どちらも私たち、すべての生きものが過去と未来につながっているという、スケールの大きな話です。


 1つ目は、私たちの体を形づくる「原子」の話です。大人にはおなじみの知識ですが、改めて読むととても新鮮です。説明が簡潔でわかりやすく、原子が生きものだけでなく、地球上のあらゆる物質をつくっていること、つまり原子は過去の生きものから私たち、そしてこれから生まれる生きものに受け継がれていく。これを知れば、子どもたちは驚き、感動するでしょう。 やわらかな雰囲気のイラストも理解を助けています。


 2つ目の話は宇宙空間をとぶ「光」の話です。世界最速の光でも、星々に届くまでには長い年月がかかります。たとえば地球に届くオリオン座のベテルギウスの光は、日本で言えば戦国時代に放たれたものです。逆に、今公園で遊ぶ私たちが発した光は、これから何万年何億年も未来の宇宙を旅し続けます。


 著者は、広大な時間と空間を探究する天文学者です。小学生の中学年から読めるわずか40ページほどの本ですが、科学的事実に基づきながらも、読後は哲学書を手にしたような深い感慨を覚えました。子どもも大人も楽しめる一冊です。


 同じ筆者が「たくさんのふしぎ」2017年4月号では「宇宙とわたしたち」を執筆しています。 


執筆者:森 富子 科学読物研究会・サイエンスぽけっと


これは 科学技術館メールマガジン第841号に投稿した原稿です。


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